転職の思考法は今後のキャリアをより良いものにし市場価値を高めていきたいと考えるビジネスパーソンにとっての必読書です。
転職という選択肢は会社で働いている人ならだれもが持つ選択肢かと思いますが、初めての転職というのは経験がなく、新卒採用と違って必要に迫られてみんなで実施するようなものではないので自分の判断や決断力が問われるので不安を伴います。
また、社会人になると会社内で多くの時間を費やしプライベートな話などもするようになりますが、同僚には信頼ができないと転職の相談はできませんし、上司に話すのも不安です。
だいたいの会社には転職していく人の候補者リストみたいなのがあるので、そこに載るのも嫌ですし、出世にも響くかもしれません。
だからと言って転職エージェントも自分たちの手持ちの企業からしか紹介できませんし、転職エージェントに依存して転職者を募っている企業もあまり良い人材がいなさそうなので、なかなか信頼しずらく、とりあえず行ってみても信頼できずどうしていいのか不安になったりします。
この本では、そういった不安を取り除いて自分自身で転職に向けて、自分の市場価値を高めるに向けてどのような行動をし、どんな判断軸や考え方を持てばよいのか方向性を示してくれます。
しかし、書いてある人のことが分からないと書かれていることの信頼性がないと思うので著者のプロフィールを紹介させていただきます。
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局で中期経営計画の策定、MA、組織改編、子会社の統廃合業務を担当し、米国留学。帰国後、ボストンコンサルティンググループに転職し、2016年ワンキャリアに参画、執行役員。2019年1月から子会社の代表取締役、ヴォーカーズの戦略担当ディレクターも兼務。30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が14万部。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)が発売3ヶ月で9万部。編著に『トップ企業の人材育成力』。1987年生。
『週報』北野唯我のブログ
博報堂から米国留学でボスコンと輝かしいキャリアを歩まれています。
ワンキャリアという会社は人々のファーストキャリアをデザインするワンランク上のキャリアを目指す学生のための新卒採用サービスを運営しています。
https://www.onecareer.jp/lp/es_kokaichu/
新卒採用では難関といわれる企業を通過したエントリーシートを公開されているので読んでみるのも面白いと思います。
いろんな将来のやりたい事やそのためになぜその会社に入るのかなど書かれていて新卒採用時代のことを思い出します。
話がそれましたが、様々なキャリアを歩み、仕事内容としても様々な人のキャリアについて向き合っている仕事をされている方なので経験に基づいた説得力のある内容になっています。
『転職の思考法』 の概要
転職の思考法は印刷機器に10年程勤めて営業をしている青野トオルという人物が転職を考えて黒岩という企業再生コンサルタントに出会い、1対1でのコンサルティングを受けては日常に帰り気づきを得てコンサルタントに疑問をぶつけてというようなリアルに転職活動をしている人や考えている事、悩んでいることを表現したストーリー形式で話が進んでいきます。
転職活動をしたことのある人であれば同様の悩みを持っていたりそれ確かに知りたかったというような内容がちりばめられています。
話としては4つの章で大きく構成されています。
1章では一生食えるという状態を作るため、市場価値を高めるための4つのステップについて書かれていて、それがどういう状態なのかやどういうプロセスを踏むべきかの方向性が示されています。
第2章と第3章では、社内からの批判を受けながら葛藤する主人公が描かれており、転職は誰にでも開かれた自由な選択肢であることを教えてくれます。
第4章では、仕事がなぜつまらないものになってしまったのか、どうやったら楽しく仕事ができるのかを探すヒントや方法について書かれています。
全体を通して転職という選択肢を前向きに考えられるようになり市場価値を高めていくことによっていつでも転職ができるというある意味余裕を持つことで自分自身の可能性を広げていくための要素がちりばめられた内容になっています。
『転職の思考法』を読んでいて印象に残った6つのトピック
ざっくり概要について説明させて頂きましたが、その中で個人的に印象に残った個所を引用させていただきます。
一生食えるかどうかは、上司を見るかマーケットを見るかで決まる
転職の思考法P31より
新卒で入った会社でも転職で入った会社でもそうですが、その会社がその業界の中でどんな地位を築いている会社であろうと、あなたが所属したチームの上司によって少なからずあなたの仕事ぶりは変わってきます。
しかし、上司はあなたより出世しているからと言って会社の中でたまたま評価された人物なだけであって、本当に市場価値の高い人間であるかどうかとは別物です。
たまたま、上司が市場でも評価されている人であればその人の背中を追って仕事をするのもよいですが、そうではない場合はその仕事のアウトプットが上司の理にかなっているかどうかよりも市場価値の高いものになっているかを常に意識していることが重要です。
この本の中で転職エージェントについて触れられていますが、定期的にその業界に精通した転職エージェントと面談してあなたの市場価値が上がっているかどうかを確認するのもよいと思います。
伸びるマーケットを見つける2つの方法
転職の思考法P 80より
方法①:複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
方法②:既存業界の非効率を突くロジックに着目する
ベンチャーキャピタルが出資しているところはどこかを調べると新しい産業やどこにお金が集まっているかがなんとなくわかります。
そして、新しい技術は知っている人も少ないのでそこで詳しい人にはお金も集まります。
今の自分の業界が伸びているのかどうか、今後も需要があるかどうかを調べてみましょう。
自分の業界を知ることも自分の市場価値を知る第一歩です。
いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ。
転職の思考法P100より
転職できないような人間ばかりがいる会社でずっと居座っているような会社では、市場価値を高めたいと考えているあなたには物足りないはずです。
あなたが所属している会社はどうでしょうか?
見渡してみて、市場価値が低そうな場合は転職を考えてみてもいいかもしれません。
会社としていいかという軸と転職先としていいかという軸は必ずしも一致しない
転職の思考法P126より
いくら会社の財務状況が良かったり、給与が良かったりしてもあなたにとって良い会社なのか、あなたが市場価値を高められるような仕事があるのかどうかとは別物です。
見た目はよい会社でもふたを開けてみると経営者が優秀なだけで現場の仕事内容は指示されて動いており、作業ベースの仕事であれば身についても大した市場価値の高いスキルがつかないような業務ばかりの場合もあります。
その業界だけでなく、その会社のビジネスモデルや業務フロー、入社したらどんな仕事ができてそれがあなたの市場価値を高めるものになるのかを見極める必要があります。
中途で入るべき会社、新卒で入るべき会社の違い
転職の思考法P141より
会社の中には新卒重視の会社と中途重視の会社があったりします。
ちなみに僕が所属している会社はだいぶ中途も交じってきましたが、ほとんど新卒重視の会社です。
僕は新卒で入っているのでいいですが、中途は同様の業界から来ても仕事の仕方や考え方が異なったりしていることが多いので、その考え方をうまく伝達できなかったり共有できず活躍できないままに居なくなってしまう中途の人もいます。
柔軟に対応ができて、自分の意見を押し付けずうまく相手の意見に自分の意見を混ぜて徐々に主張ができる人なら良いかもしれません。
しかし、ある程度の経験年数があって自分の仕事にも誇りを持っているような人であればあるほどうまく柔軟に混じれない可能性があります。
中途と新卒の割合とか役職者や役員が新卒が多いかみたいなことは確かめておくとよいでしょう。
仕事を楽しむ人間が使う言葉は二種類に分けられることがわかった
転職の思考法P214より
to do(コト)に重きを置く人間
Being(状態)に重きを置く人間
夢や目標がある人を見て自分には情熱を傾けられる夢や目標をなかなか見つけられないんだろうと嘆いている人は多いと思います。
しかし、この本では99%の人間はそうではないと書かれています。
ことに重きを置くのではなく状態に重きを置くということに関しては、キャリアを考える多くの人にとって救いになるはずです。
特に何か明確にやりたいことが無い人や無理やり見つけたようなふりをしてストレスをためている人はこの本を読むと自分自身の方向性を見直すきっかけになると思います。
『転職の思考法』は転職を考える人だけでなくキャリアを築いていきたい全ての人の必読本!
この本のおわりにのページにこの本が書かれた理由について
『すべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉カードを持てば、結果、今の職場も絶対に良くなると確信しているから』
とあります。
いつでも転職ができるという交渉カードを持っている人は何かしらの業界や業務に精通していて所属している企業内だけで使えるスキルや経験だけでなく、ほかの会社、つまり市場から求められているようなスキルを持っていると言えます。
たしかに、そんなスキルを持っている人が増えれば世の中の生産性は向上するし、そういう人が自殺することもあまりないかなという気がするので日本もより良くなるかなという感じがします。
しかし、日本の旧態依然としている会社は転職を悪い事のように扱いますし、転職のこと、もっというなら将来どうなりたいかを気軽に話せるような環境はありません。
将来どうなりたいかを上司から聞かれたとして、基本的にそれは『会社の中で』という尾ひれがついていて、それが会社の枠外から出たりちょっと遠い未来でしか実現できなさそうなものや他部署だったりするとだいたい嫌悪感を示されるのが実態かなと思います。
しかし、今はスキルシェアの時代で市場価値が高まれば高まるほどそういった会社にしがみついたりしなくてすみます。
また、自分の市場価値を把握していなければ、その会社にしか居れないと勘違いを起こし、結局使えない人材になっていってしまいます。
上司を見るのではなく、マーケットを見てどんなことが市場から求められているのか常に把握しながら今の仕事はどうなのかを定期的に振り返りをしてみるとより市場価値の高い人間に一歩近づけるのではないでしょうか。
少しでも市場価値を高めていきたいけどどうすればいいのかわからない、一歩行動に移したいという人に勇気を与えてくれる良書で、転職されると困りますが2018年に1回目読んだ後すぐに部下にも勧めたりしました。笑
自分自身のキャリアを見つめなおすきっかけになるので是非読んでみてください!
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